犬学⑮ 犬にも犬を見る目があるのでしょうか
- 4月28日
- 読了時間: 4分
更新日:7月6日
― 犬種ではなく、その犬自身を見る力 ―
アルテミス通信 第14号

① ぽんちゃんとアマーリエ
ある日、興味深い場面がありました。
2kgにも満たないポメラニアンのぽんちゃんが、35kg近いジャーマンシェパードのアマーリエのそばで普通に過ごしていたのです。
人間から見れば不思議な光景かもしれません。
多くの人は、
「怖くないのだろうか」と思うでしょう。
しかし当の犬たちは平然としています。
一方で、大型犬を怖がらない小型犬もいれば、逆に大型犬の方が距離を取る場面もあります。
体格だけを考えれば不思議なことです。
では犬たちは何を見ているのでしょうか
② 犬たちは犬種を見ているのか
私たち人間は犬を見ると、まず犬種や体格に目が行きます。
ポメラニアン、柴犬、ジャーマンシェパード、フレンチブルドッグ。
そして大型犬だから強そう、小型犬だから弱そう、柴犬だから気が強そう、ゴールデンだから優しそうと考えます。
もちろん犬種による特徴はあります。
しかし実際に犬たちを見ていると、それだけでは説明できないことがたくさんあります。
同じ犬種でも性格は違います。
同じ大きさでも周囲に与える印象は違います。
落ち着いた犬もいれば、緊張している犬もいます。
周囲をよく見ている犬もいれば、自分のことで精一杯になっている犬もいます。
では犬たちは何を見ているのでしょうか。
私は犬たちが見ているのは犬種や体格ではなく、その犬が今どのような状態にあるのかではないかと思うのです
③ クロが教えてくれたこと
最近来たクロは柴犬です。
風太もブンも柴犬です。
ところが同じ柴犬であっても、犬たちの反応は同じではありませんでした。
クロは勢いがあり、周囲の犬との距離感もまだ上手ではありませんでした。
そのため、柴犬の風太とブンは何度かクロの勢いに巻き込まれ、落ち着かない様子を見せていました。
同じように、32kgの日本犬ミックスのぶらっきーもクロの動きに反応し、巻き込まれる側に入りました。
一方で興味深かったのは、35kg近いアマーリエと、5kgのアンボワーズが、どちらもクロと一定の距離を保っていたことです。
アンボワーズとの体重差は25㎏以上あります
それにもかかわらず、二頭は同じように無理に関わろうとはしませんでした。
犬種も体格もさまざまです。
けれども反応は、犬種や大きさだけでは説明できませんでした。
私は以前から、犬たちは犬種よりも個体を見ているのではないかと思っていました
④ 経験が育てる判断力
最近はもう一歩進んで、経験を積んだ犬には「犬を見る目」があるのではないかと感じています。
アマーリエもアンボワーズも、毎日のようにさまざまな犬と接しています。
落ち着いた犬もいれば、興奮した犬もいます。
自信のある犬もいれば、不安を抱えた犬もいます。
そうした経験を重ねるうちに、相手がどのような状態なのかを感じ取る力が育っているのかもしれません。
⑤ 関わらないという選択
先日のフレンチブルドッグも少し特殊でした。
AWへ出ても地面の匂いを嗅ぎません。
他の犬の匂いも確認しません。
ゼイゼイと荒い呼吸を続けながら歩き、突然アマーリエを追いかけ始めました。
私はアマーリエが反撃すると思いました。
ところがアマーリエは唸ることもなく、ただ距離を取ろうとしました。
最初は、「アマーリエも歳を取ったのだろうか」と思いました。
しかし今は違う見方をしています。
もしかするとアマーリエは、その犬の状態を見て関わらないことを選んだのかもしれません。
⑥ 犬にも犬を見る目がある
犬たちは私たちが思っている以上に相手を見ています。
犬種や体格だけでは説明できない反応を、私は何度も見てきました。
犬種を見るのではなく、その犬自身を見る。
そして時には関わり、時には距離を取り、時には見守る。
そんな判断をしているように見えるのです。
犬にも犬を見る目がある。
そんなことを考えさせられた一日でした。




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