甘えているのに、なぜトムは緊張していたのか
- 5月16日
- 読了時間: 3分
― ジャックラッセルテリア・4歳去勢雄のケース ―
アルテミス通信 第22号 CASE04

■ はじめに
アルテミスペットセンターでは、犬の「問題行動」だけではなく、
👉 その犬がどのような状態で生活しているのか
を観察しています。
今回のケースは、4歳半のジャックラッセルテリア・去勢雄でした。
来所理由は、
後ろ足周辺を触れさせない
爪切り時の防御反応
身体を押さえられると唸る
というものでした。
またご家庭では、
👉 同居家族に対して吠え続ける
様子も見られていました。
■ 「元気な犬」に見える犬
ジャックラッセルテリアは、
元気
活発
テンションが高い
という印象を持たれることが多い犬種です。
しかし実際には、
👉 「元気」なのではなく、
👉 神経が休まりにくい状態
になっている犬も少なくありません。
今回のケースでも、
👉 常に周囲を気にしている
印象が強く見られました。
■ 吠えないのに落ち着いていない
興味深かったのは、
👉 アルテミスではほとんど吠えなかったことです。
一般的には、「吠えない=落ち着いた」
と思われがちです。
しかし実際には、
部屋からすぐ出てこない
出入口を最後まで意識する
小さく唸る
自分の尻尾を気にする
など、 身体の緊張は最後まで残っていました。
つまり、「静か=安心」ではないのです。
■ 人は好き
一方で、この子は人との関係を拒否していたわけではありません。
自分から近づく
顔を舐める
撫でを求める
人のあとをついて歩く
など、 「人のそばにいたい」
気持ちは非常に強く見られました。
しかしその反面、 後ろ足周辺への接触
には最後まで慎重さが残りました。
■ 「噛む犬」ではなく「緊張している犬」
犬が唸ったり噛んだりすると、
👉 「性格の問題」
と思われることがあります。
しかし今回のケースでは、
👉 「攻撃したい」というより、
👉 「怖い」
👉 「そこは嫌だ」
👉 「やめてほしい」
という防御反応に近い印象でした。
しかも特徴的だったのは、
👉 強い威嚇ではなく、小さな唸りで伝えようとしていたことです。
これは、
👉 本当は衝突したくない
犬である可能性も示しています。
■ トムは変わり始めていた
今回の6日間で、
吠えは大きく減少し
人への接近は増え
他犬環境でも安定して過ごせるようになりました。
一方で、
👉 身体の緊張そのものは最後まで残っていました。
しかしそれは、
👉 「治らない」という意味ではありません。
むしろ、
👉 長く続いていた緊張が、簡単には消えない
ということだと思います。
トムは、
👉 人が嫌いな犬ではありません。
本当は、
👉 人のそばにいたい気持ちが強い犬です。
だからこそ今後は、
👉 「従わせる」よりも、
👉 「安心して過ごせる時間を増やす」
ことが大切なのかもしれません。
■ アルテミスで見ているもの
アルテミスでは今回、
👉 “問題行動” ではなく、
👉 “なぜ緊張が続いているのか” を観察した6日間でした。
犬は、強く抑え込むことで安定するのではありません。
👉 環境を理解し、
👉 予測できるようになった時、
少しずつ緊張が下がっていきます。
今回のケースは、
👉 「噛む犬」としてではなく、
👉 「長く緊張の中で生活してきた犬」
として見る必要性を感じた症例でした。




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