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ポチが取り戻したもの

  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

― 犬の世界を思い出した5日間 ―


アルテミス通信第37号 CASE16



■ 深い愛情の中で


13歳のミックス犬ポチが5日間のAWプログラムに来てくれました。


ポチには甲状腺の問題による脱毛があり、噛み癖もありました。


ポチと飼い主様はとても深く結びついていました。


初日、飼い主様は、「夜、寂しくて鳴いていませんか?」


と心配されていました。


それは自然なことだと思います。


大切な存在と離れれば寂しい。


人間ならそう考えるからです。


しかし私は、その言葉に少し違和感がありました。


そして今回、ようやく気づきました。


私たちは無意識のうちに、人間の気持ちを犬に投影しているのかもしれません。


■ 犬たちの世界


犬にも感情はあります。


けれど犬は人間とは違います。


  • 目の前に犬たちがいて、

  • 匂いがあり、

  • 静かな休息場所があり、

  • 犬のルールがあります。


すると犬たちは少しずつ、その世界に入っていきます。


本当にどの犬も見事に適応していきます。


そこにいるだけで、毎日少しずつ変化していくのです。


ポチはとても犬が好きな犬でした。


誰かのそばにいたい犬でした。


初日は常在犬アンボワーズに強く執着していました。


しかし、それは雄と雌の問題ではありませんでした。


ポチらしい安心の求め方だったのだと思います。




■ 小さな変化


初日のポチは食欲もなく、周囲を見る余裕もありませんでした。


AWに降りても探索はなく、匂いを嗅ぐこともありませんでした。


しかし3日目頃から変化が現れました。


自分で歩くようになったのです。


AWを行ったり来たりしながら、


少しずつ周囲を探索し、


地面の匂いを嗅ぎ始めました。


すると食欲も戻ってきました。


私は今まで多くの犬を見てきましたが、


  • 自分の意志で動くこと。

  • 匂いを嗅ぐこと。


それが犬にとって、とても大切なことなのではないかと思っています。



■ 顔が変わった


不思議なことに、ポチの顔も変わってきました。


最初のどこか不安そうな顔から、


犬らしい、とても愛らしい顔になっていったのです。


そこには自信のようなものが感じられました。


私はその顔に、ポチ本来の姿を見ていました



■ 私たちの知らないポチ


滞在中、私は毎日写真や動画をお送りしていました。


すると飼い主様から、


「私たちの知らないポチの姿を見せてもらいました。」


という言葉をいただきました。


また、「長かった時間でしたが、ある意味、自分自身も見つめ直す時間でもあったようです。」ともおっしゃってくださいました。


ポチだけではなく、


飼い主様にとっても、


今まで知らなかったポチに出会う時間だったのかもしれません。


帰宅後、ご家族は、「雰囲気が変わったね。」 と感じられたそうです。


私は嬉しくなりました。


なぜなら私が見ていたのは、新しいポチではなく、本来のポチだったように思えたからで

す。



■ 犬はげんきんな生き物


そしてお迎えの日。


飼い主様が現れると、ポチは突然飼い主様の側について私に吠え始めました。


思わず笑ってしまいました。


犬は本当にげんきんな生き物です。


それでいいのです。


ポチは飼い主様が大好きなのですから。


そして最後まで、誰かのそばにいました。


それもまた、ポチらしさなのだと思います。


■ ポチが教えてくれたこと


私は犬を理解する上で、一つ大切にしていることがあります。


それは、人間の気持ちを犬に投影しないことです。


人間の尺度で犬を見ないことです。


  • 犬を学び、

  • 犬を理解し、

  • 犬の気持ちを考えること。


犬には犬の世界があり、


犬のルールがあり、


犬として生きる力があります。


ポチは私たちに、


犬を愛することと、


人間の気持ちで犬を理解したつもりになることは違うのだと教えてくれました。


そして犬は、自分の力で歩き、匂いを嗅ぎ、少しずつ本来の姿を取り戻していく力を持っていることを、改めて教えてくれたのでした。

 
 
 

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