犬学① 犬はどこで休みたい動物なのか
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更新日:22 時間前
― 犬と人間の快適さは同じではないー
アルテミス通信 第35号

はじめに
犬を観察していると、興味深い共通点があります。
多くの犬は、休息するときに開放的な場所よりも、周囲を囲まれた静かな場所を選びます。
机の下。
家具の陰。
壁際。
ベッドの下。
屋外であれば木陰や建物の陰。
それは誰かに教えられた行動ではありません。
犬自身が自然に選択している行動です。
野生動物の多くは、休息時には外敵から身を守りやすい場所を利用します。
犬もまた、その祖先から受け継いだ行動特性として、周囲を見渡せる一方で、自分の背後や
側面が守られている場所を好む傾向があります。
そのため、狭く、暗く、静かな空間は、犬にとって安心しやすい環境の一つと考えられます。
人間と犬の感じ方は同じではない
以前、ある飼い主さんから、
「リビングが犬にとって良くないなら、どこが良いのですか?」
という質問を受けたことがありました。
私はトイレや廊下の一角など、人の出入りが少なく静かな場所を提案しました。
すると返ってきた答えは、
「暗くないですか?」でした。
このやり取りはとても印象に残っています。
私たち人間は、明るく開放的な空間に快適さを感じることがあります。
しかし犬は必ずしも同じではありません。
実際には、多くの犬が自ら狭く暗い静かな場所へ入り、そこで休息しようとします。
人間の快適さと犬の快適さは、必ずしも一致しないのです。

昔の犬小屋が教えてくれること
昔ながらの犬小屋の構造は興味深いものです。
三方が囲まれ、
入口は狭く、
内部は薄暗い。
結果として、犬が周囲を警戒しながらも休息しやすい構造になっています。
私たちは時として、犬にとって快適な環境を人間の感覚で考えてしまいます。
しかし犬には犬の感じ方があります。
犬の環境を考えるときには、その動物が本来どのような場所で安心するのかを知ることが大切なのではないでしょうか。
なぜ家に帰ると元に戻るのか
私はこれまで、なぜアルテミスでは落ち着いていた犬が、自宅へ戻ると再び落ち着きを失うことがあるのかを考えてきました。
もちろん原因は一つではありません。
しかし多くの犬を観察する中で、休息環境はその一因ではないかと考えるようになりました。
犬はもちろん家族のことが大好きです。
一緒に過ごすことも好きです。
撫でてもらうことも好きです。
しかしその一方で、静かに休息する時間も必要としています。
犬たちの行動を観察していると、自ら人や他の犬から少し距離を取り、落ち着ける場所で休んでいる姿をよく見かけます。
犬にとって快適な環境とは、常に誰かと一緒にいることだけではないのかもしれません。
安心して休める場所があり、静かに過ごせる時間があること。
それもまた、犬が安定して暮らすために必要な環境の一つなのではないでしょうか。




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