犬の自信は顔に出る
- 5月25日
- 読了時間: 4分
更新日:5月27日
― ポメラニアン・クーちゃん、1年半の変化―
アルテミス通信 第29号 CASE 11

■ はじめに
犬は生まれつき臆病なのでしょうか。
犬は生まれつき吠えるのでしょうか。
私はそうは思いません。
今回ご紹介するのは、ポメラニアンのクーちゃん、3歳の男の子です。
今ではアルテミスに来ると、自分から建物に入り、部屋へ向かい、他の犬たちとも自然に過ごしています。
その姿は落ち着いていて、自信に満ちています。
しかし、初めて会った頃のクーちゃんは全く違いました。
■ ペットショップで過ごした幼少期
クーちゃんは2023年生まれです。
ペットショップで長く残っていた子で、飼い主様が一目惚れして迎えられました。
しかし体調不良のため引き渡しが遅れ、生後5か月頃までショップで過ごすことになりまし
た。
その間、人との触れ合いや犬同士の交流は十分ではありませんでした。
ガラス越しに人を見ることはできても、
実際に触れ合い、
様々な環境を経験し、
犬同士の関係を学ぶ機会は限られていたのです。
■ 理想と現実
飼い主様はクーちゃんをとても可愛がっていました。
洋服を着せたり、
写真を撮ったり、
SNSを通じて犬仲間との交流も楽しまれていました。
しかし成長するにつれ問題が現れます。
吠える。
興奮する。
威嚇する。
飼い主様は様々な方法を試しましたが改善せず、アルテミスへ相談に来られました。
私が最初にお話ししたのは、
「まず犬を落ち着かせましょう」
ということでした。
犬は不安な状態では学ぶことができません。
まず安心できる状態を作ることが大切だからです。
■ 神経が常にオンだったクーちゃん
クーちゃんが初めてアルテミスに来たのは1歳8か月の頃でした。
当時のクーちゃんは、常に神経が張り詰めているように見えました。
周囲を気にし、
少しの刺激にも反応し、
吠え、
威嚇することもありました。
他の犬に興味はあります。
しかしどう関わればよいのか分からない。
近づきたい気持ちと警戒心が同居しているようでした。
食欲も安定せず、体つきも今より細かったことを覚えています。

■ 自信は経験の中で育つ
犬は言葉で自信を持つわけではありません。
経験によって自信を身につけます。
匂いを嗅ぐ。
歩く。
他の犬を見る。
挨拶する。
離れる。
近づく。
失敗する。
そしてまた挑戦する。
その一つ一つが犬の世界を広げていきます。
クーちゃんもまた、多くの経験を重ねながら少しずつ変化していきました。
■ 20回以上の滞在が育てたもの
クーちゃんはこの2年間で、日帰りも含め20回以上アルテミスを利用してくれています。
一度で変わったわけではありません。
少し慣れ、
少し理解し、
少し自信をつける。
その積み重ねでした。
今では到着すると落ち着いて施設に入り、自分から部屋へ向かいます。
他の犬たちとも自然に過ごし、必要な距離を自分で選んでいます。
食欲も安定し、体重もしっかり増えました。
被毛も美しくなり、体つきにも力強さが感じられます。
■ 表情が変わった
私が最も大きな変化を感じるのは表情です。
初めて来た頃のクーちゃんは、どこか緊張した顔をしていました。
常に周囲を確認し、次に何が起こるかを気にしているようでした。
しかし今は違います。
落ち着いて周囲を見ています。
必要以上に警戒することもありません。
他の犬たちの中でも自然に振る舞い、自分の居場所を理解しています。
2024年12月の写真と今日の写真を見比べると、その違いはよく分かります。
以前はどこか様子をうかがうような表情でした。
今は落ち着きがあります。
そして何より、自信があります。
私には、
「自信に満ちた凛々しい雄犬」
に見えます。

■ おわりに
クーちゃんは生まれつき問題のある犬だったわけではありません。
経験が不足していただけでした。
そして経験を重ねることで、少しずつ世界を理解していきました。
今のクーちゃんは、他の犬たちと自然に過ごし、自分から部屋へ入り、落ち着いて周囲を見
ることができます。
初めて来た頃の緊張した表情はありません。
そこにいるのは、
自信に満ちた凛々しい一頭の雄犬です。
私はその姿を見るたびに思います。
犬は本来持っている力を発揮できる環境と経験さえあれば、自分自身の力で成長していくのだと。




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