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老犬を「かわいそう」で弱らせないために

  • 4月12日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月26日

寝かせきりにしない本当の理由―


アルテミス通信 第7号 (CARE 02)



■ はじめに


高齢犬の介護になると、多くの飼い主さんが「できるだけ楽をさせてあげたい」と考えます。


その気持ちはとても自然で、深い愛情から来るものです。


ただ現場で見ていると、その“優しさ”が、結果として犬の身体の機能を弱めてしまうことも少なくありません。


ここで大切なのは、


👉 「楽に見えること」と「身体にとって良いこと」は、必ずしも同じではない


という視点です。


老犬にも、まだ残っている力があります。


その力を奪わずに支えるために、寝かせきりにしないことの意味を考えてみたいと思います。




■ 寝かせきりがもたらすもの


犬の身体は、「使われることで保たれる」ようにできています。


少し難しい言葉で言えば、


👉 使わないと機能は落ちていく(廃用)


ということです。


寝かせたままの状態が続くと、


・筋肉が弱くなる

・関節が動きにくくなる

・神経への刺激が減る

・姿勢を保つ力が落ちる


こうした変化が、想像以上に早く進みます。

特に老犬では、その影響はとても大きくなります。


■ 姿勢がもつ大きな意味


犬は前足で体重の約60%を支えています。


そのため、身体を起こして前足にしっかり体重がかかる姿勢をとることが、


・筋肉や関節の維持

・神経の働き

・身体全体のバランス


を保つうえでとても重要になります。


逆に、寝たままの状態では、こうした刺激がほとんど失われてしまいます。


マッサージは気持ちよさはありますが、それだけで機能を保つことはできません。


大切なのは、


👉 身体が自然に使われる状態を保つことです。


■ 起こすことで変わること


身体を起こすことには、たくさんの意味があります。


・呼吸がしやすくなる

・水分を取りやすくなる

・周囲への反応が出やすくなる

・血の巡りが良くなる

・床ずれを防ぎやすくなる


そしてもう一つ、大きな意味があります。


それは、


👉 周りの世界と関わり続けられることです。


犬は最後まで、環境や人とのつながりの中で生きています。


ただ横になっているだけの時間と、身体を起こして周囲を感じている時間では、その“生きている質”が大きく変わってきます。


■ 服で隠すより、見えること


老犬に服を着せている方は多いと思います。


見た目を整えてあげたい。


皮膚を見せるのがかわいそう。


そうした気持ちからだと思います。


ですが現場では、服によって


・蒸れ

・汚れの蓄積

・皮膚の悪化

・異常の見逃し


が起きているケースをよく見ます。


このような場合に大切なのは、


👉 隠すことではなく、見える状態にすることです。


毛を刈ることは、かわいくするためではありません。


皮膚の状態を正しく見るため、そして守るために必要なことです。


■ 清潔とシャンプーは同じではない


清潔にしてあげたい、という気持ちはとても大切です。


ただし、


👉 清潔=シャンプーとは限りません。


特に老犬にとっては、


・濡れること

・乾かされること

・長時間の処置


これらすべてが大きな負担になります。


シャンプーの後にぐったりしてしまう子も少なくありません。


そのため私は、


👉 必要なところだけを、無理のない方法で清潔に保つこと

を大切にしています。


■ 服ではなく、ブランケットという選択


私は老犬には、服ではなくブランケットをかけることが多いです。


ブランケットであれば、


・必要なときだけ温められる

・すぐ外せる

・皮膚の状態が見やすい

・蒸れにくい


という利点があります。


もし衣類を使う場合でも、おしゃれではなく「保護」として、できるだけやさしい綿素材を選ぶことが望ましいと感じています。


■ ジェットが教えてくれたこと


ジェットは、後ろ足が動かない状態でした。


それでも可能な限り身体を起こし、座った姿勢で過ごし、周囲との関わりを持ち続けました。


その結果、最後までしっかりと反応を保ち、環境や人とのつながりの中で過ごすことができました。


私はこの経験から、


👉犬に本当に必要なのは、「楽に見せること」ではなく、「生きている状態を支えること」

だと強く感じています。


■ 介護とは何か


介護とは、ただ楽にさせることではありません。


また、命を延ばすことだけでもありません。


その子が最後まで、その子らしく生きられる状態を支えることだと私は思っています。


「かわいそう」という気持ちは、とても大切です。


でもその気持ちだけで判断してしまうと、守れるはずの力を失わせてしまうこともあります。


■ 最後に


老犬にも、まだ残っている力がたくさんあります。


そして私たちには、それを奪わずに支える責任があります。


アルテミスでは、無理のない範囲で姿勢・清潔・環境・関係性を整えながら、その子がその子らしく過ごせる時間を大切にしています。


介護とは、ただ守ることではなく、


👉 最後まで“生きている姿”を支えること


だと、私は考えています。

 
 
 

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