あずき、犬社会へ旅立つ
- 11 時間前
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― 子犬たちは犬社会で育つ ―
アルテミス通信 第28号 CASE 10

■ はじめに
お迎えに来られた飼い主様ご夫妻は、あずきちゃんの様子を見てとても喜ばれていました。
滞在中、私は何本も動画をお送りしていました。
ご夫妻はその様子を見ながら変化を感じてくださっていたようですが、実際に目の前で見るあずきちゃんは、また違って見えたのでしょう。
「なんだかあずきが変わったみたいですね」
そんな気持ちが自然に伝わってきました。
ご夫妻は決して過保護な方ではありません。
犬を囲い込んだり、過剰に管理したりするタイプでもありません。
それでも、
「他の犬たちの中に入って大丈夫だろうか」
「うまくやっていけるだろうか」
という不安はずっと持っておられたと思います。
甘噛みをする。
よく吠える。
落ち着きがない。
もちろん子犬としては決して珍しいことではありません。
しかし飼い主にとっては、それでも心配なものです。
そんなあずきちゃんが、多くの犬たちの中でどのように過ごすのか。
今回の滞在は、ご夫妻にとっても大きな挑戦だったと思います。
■ 遊びにも経験が必要
初日に一緒に遊んだぽんちゃんが再びやって来ました。
顔を合わせると、2頭はすぐにワンプロを始めます。
しかし今回は少し違いました。
前日はまだ手探りだったあずきちゃんが、明らかに遊び方のコツを覚えていたのです。
体を大きく使い、
ぴょんぴょんと跳ねながら方向を変え、
相手の動きを見ながら駆け引きをする。
前日には見られなかった動きも加わり、遊びはさらにダイナミックになりました。
体格や顎の力で勝るあずきちゃんが要領を覚えたことで、ぽんちゃんは少し不利になります。
それでもぽんちゃんは何度も果敢に挑戦しました。
気が付けば全身があずきちゃんのよだれでびっしょりになっていましたが、それでも楽しそ
うに向かっていきます。
もちろん興奮が高くなり過ぎる場面では私も数回介入しました。
遊びは自由ですが、ルールも必要だからです。

■ 9歳のてんちゃんとも遊べた
3日目は見学に来ていた9歳のマルプー、てんちゃんとも交流する機会がありました。
正直なところ、9歳という年齢を考えると若い犬同士のような遊びには発展しないかもしれないと思っていました。
ところが、あずきちゃんは積極的にてんちゃんへ興味を示し、遊びへ誘います。
そしててんちゃんも、その誘いに応えてくれました。
もちろん若い犬同士の激しいワンプロとは違います。
それでも2頭は最後まで上手に関係を作りながら過ごしていました。
てんちゃんは未去勢の雄らしく、時折マウントする場面もありましたが、その際には私が介入し、双方が落ち着いて過ごせる状態を保ちました。
■ 相手によって行動を変えられるようになった
今回のあずきちゃんは、本当にさまざまな犬たちと接しました。
同じ月齢のぽんちゃんとは思い切り遊び、
9歳のてんちゃんとは年齢に合わせた関わり方をし、
常在犬のアマーリエには適切な距離を保ちながら接しました。
さらに14歳の柴犬ムクとも自然に関係を作ることができました。
犬の社会性とは、どの犬とも仲良くする能力ではありません。
相手の年齢、
性格、
経験、
その時の状態を見ながら、自分の行動を調整できる能力です。
今回のあずきちゃんは、その力を少しずつ身につけ始めているように見えました。

■ 犬を育てるのは犬のいる環境
今回の滞在で、あずきちゃんは延べ多くの犬たちと触れ合いました。
子犬、
成犬、
高齢犬、
大型犬、
小型犬、
未去勢犬、
常在犬。
それぞれ性格も経験も異なります。
その中で、
遊び方を学び、
距離の取り方を学び、
誘い方を学び、
断られた時の対応を学び、
興奮の調整を学んでいきました。
私は今回改めて、
「犬を育てるのは、やはり犬のいる環境なのだ」
と強く感じました。
人が教えられることには限界があります。
しかし犬たちは犬同士の関わりの中で、多くのことを自然に学んでいきます。
今回あずきちゃんが身につけたのは、単なる遊び方ではありません。
相手がどんな犬であっても対応できるための、犬としての技術だったように思います。
■ おわりに
今回の滞在中、あずきちゃんが多くの犬たちの中で自然に過ごし、相手によって行動を変えながら関係を築く姿は、飼い主様にとっても大きな発見だったと思います。
私は、若年期にさまざまな犬たちと交流することの重要性を改めて感じました。
子犬の時期に経験した犬同士の関わりは、その後の社会性の土台になります。
これからもたくさんの経験を重ねながら、あずきちゃんらしく素直に成長していってくれることを願っています。




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