ボストンテリア・エルが思い出した犬らしさ
- 3 日前
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アルテミス通信 第46号

緊張の中で始まった5日間
ボストンテリアのエル(1歳3か月・♂)が、5日間のAWコースを終えました。
ご家族からは、「びびりで神経質な子です」と伺っていました。
アルテミスに到着したエルは、まさにその言葉どおりでした。
耳は後ろへ倒れ、しっぽは下がり、体は小刻みに震えています。
目には緊張が表れ、飼い主の姿が見えなくなった後も、私へ痛いほどの視線を送り続けていました。
食欲もほとんどなく、おやつをかろうじて口にする状態がしばらくの間続きました。
初日には大型犬からマウントを受け、大きな恐怖を経験しました。
そのため、その後は大型犬との接触を避け、エルが安心して過ごせる環境を整えることにしました。
エルが見つけた安心できる場所
数日が過ぎると、エルは自分の部屋を安全な場所として受け入れるようになりました。
ご家族が持たせてくださったマットの上で落ち着いて休み、自分から部屋へ戻ることもできるようになりました。
一方で、自分から部屋を出ることは最後までできませんでした。
アルテミスワンダーランド(AW)へは抱いて連れて行く必要がありましたが、一度外へ出ると、自分の足で歩き、匂いを嗅ぎながらゆっくりと環境を探索していました。
エルは、自分のペースで少しずつ世界を広げ始めていたのです。

犬が犬に教えたこと
3日目頃から、ビーグルのむぎや常在犬のアンボワーズと自然に触れ合う姿が見られるようになりました。
そして最終日、エルの前に現れたのが、ポメラニアンのぽんちゃん(♀・7か月)でした。
ぽんちゃんは無理に遊びへ誘うことはありません。
まずは匂いを嗅ぎ合い、鼻と鼻を合わせ、ときには顔を優しくなめながら、ゆっくりと距離を縮めていきました。
犬同士にしか分からない言葉で、何かを伝え合っているようでした。
その様子を見ているうちに、エルの表情が少しずつ変わっていきました。
耳が立ち、しっぽが上がり、緊張で固まっていた体が自然に動き始めます。
まるで、エルの心の奥に眠っていた「犬としての記憶」が、ぽんちゃんとの触れ合いによって少しずつ呼び覚まされていくようでした。

最後に見せてくれた本来の姿
やがて二頭は遊びの舞台を外へ移しました。
ぽんちゃんは何度も走り出してエルを遊びに誘います。
そしてエルはぽんちゃんを追いかけ始めました。
ボストンテリアらしい俊敏さで、あっという間にぽんちゃんへ追いつきます。
しかし、近づきすぎると自分で急ブレーキをかけ、相手との距離を上手に調整していました。
体重はエルの方が約5倍あります。
それでも飛びついたり押し倒したりすることはなく、相手を思いやりながら追いかけっこを楽しんでいました。
一方で、ぽんちゃんの誘いすべてに応えられたわけではありません。
まだ立ち止まって見送ることもあり、自分から遊びに誘うこともありませんでした。
それでも、遊ぶことさえ知らなかったように見えたエルが、自ら犬を追いかけ、一緒に走るようになったことは、大きな変化でした。
ちょうどその頃、お迎えに来られたご家族も、その様子を30分ほど見守っておられました。
場所を変えながら何度も遊びに誘ったり追いかけっこをする二頭を見て、
「お友達ができてよかったですね。」
という言葉が自然にこぼれました。
さらに帰る直前には、ゴールデン・レトリバーのラーラともごく自然に接することができました。
初日に大型犬を恐れていたエルからは想像できない姿であり、この5日間の大きな収穫だっ
たと思います。

エルが思い出した犬らしさ
初日のエルは、不安で心がいっぱいでした。
人の姿を追い続け、犬たちと関わる余裕はありませんでした。
ところが最終日、エルの視線はもう人にはありませんでした。
ぽんちゃん、アンボワーズ、そしてラーラ。
エルは犬たちを見つめ、犬たちの後を追い、犬たちと一緒に過ごしていました。
人ではなく、犬を見て行動していたのです。
その姿を見て、私は思いました。
エルは、犬らしさを思い出した。
ぽんちゃんがエルに教えたのは、遊び方ではありません。
安心すること。
相手を信じること。
そして、犬として仲間と一緒に過ごす楽しさでした。
。
犬は犬によって変わる。
犬は犬が教える。
犬は犬によって犬になる。
エルが最後に見せてくれた姿は、そのことを私たちに教えてくれました。





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