犬学③ あいさつは3秒で決まる
- 3月15日
- 読了時間: 3分
更新日:6月12日
―犬は出会った瞬間に何を見ているのか―
アルテミス通信 第2号

■ はじめに
犬同士が出会うとき、多くの飼い主さんは不安になります。
特に小型犬の飼い主さんほど、
「うちの子は犬が苦手です」
「すぐ吠えます」
「他の犬とは仲良くできません」
「大型犬は怖いです」と言われます。
中には、「絶対にパニックになります」
と心配される方もいます。
■ 私たちが見ている犬社会
多くの飼い主さんは、犬同士が落ち着いて挨拶する姿をほとんど見たことがありません。
散歩中にリードを引っ張り合う犬。
向かいから来る犬に吠える犬。
慌てて抱き上げられる犬。
飼い主がリードを強く握りしめる場面。
私たちが日常で目にする犬同士の出会いの多くは、このような場面です。
そのため、
「犬同士が会えば吠える」
「近づけば喧嘩になる」
と思い込んでしまうことがあります。
しかし、それは本来の犬社会なのでしょうか。
■ 犬の脳が最初に行うこと
犬同士が出会った瞬間、犬の脳は大量の情報を処理しています。
まず最初に行われるのは、
「安全か危険か」という判断です。
友達になれるかどうかではありません。
遊べるかどうかでもありません。
まず自分に危険がないかを確認しています。
これは動物として当然の反応です。
■ まず視覚が働く
犬は最初に相手の姿を見ています。
大きいのか小さいのか。
速く動いているのか。
ゆっくり歩いているのか。
体は硬いのか柔らかいのか。
こちらへ真っすぐ向かってくるのか。
少し横を向いているのか。
そのわずかな違いを見ています。
人間には同じように見えても、犬にとっては重要な情報です。
■ 安全かどうかは体に現れる
危険を感じれば体は緊張します。
呼吸が速くなる。
筋肉が硬くなる。
動きが止まる。
距離を取ろうとする。
逆に安全だと判断すれば、体は自然に緩みます。
犬同士の挨拶は、実は神経の状態が大きく関係しています。
落ち着いている犬ほど冷静に情報を集めることができます。
■ 次に匂いを確認する
その後、犬は匂いの情報を集めます。
年齢
性別
健康状態
緊張の程度
生活環境
私たちには見えない多くの情報が匂いの中に含まれています。
犬同士が静かに近づいて匂いを確認するのは、その情報を読んでいるからです。
■ 本当の挨拶は静かである
犬同士の挨拶は本来とても静かです。
見る
判断する
匂いを確認する
距離を調整する
必要な情報を得る
そして通り過ぎる
たった数秒の出来事です。
アルテミスでも、社会性の高い犬ほど挨拶は短く終わります。
相手を確認した後は、それぞれが散策したり休んだりしながら自然に過ごしています。
必要以上に執着しないことも、犬社会の大切なルールのひとつです。
■ なぜ吠え合いが起きるのか
私たちがよく目にする吠え合いは、本来の犬同士の挨拶とは少し違います。
リードによる制限
飼い主の緊張
過剰な声掛け
抱っこ
狭い空間
逃げ場のない状況
そうした環境は犬の判断を難しくします。
犬は本来、自分で距離を選びながら相手を理解していく動物だからです。
■ おわりに
犬同士が出会った瞬間に起きているのは、喧嘩でも友情でもありません。
まず相手を理解するための情報収集です。
視覚
嗅覚
動き
距離
呼吸
姿勢
犬たちは私たちが思う以上に多くの情報を読み取っています。
そしてその判断は、ほんの数秒で行われます。
犬社会は私たちが思うより静かです。
犬たちは常に相手を観察しながら、
距離を調整し、
必要な情報を集めています。
その姿を見ていると、
犬社会には犬社会のルールがあることを改めて感じます。




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