犬学⑦ 犬の散歩とは何か?
更新日:6月12日
― 人と犬が見ている“まったく違う世界”
アルテミス通信 第16号

■ はじめに
散歩は、多くの飼い主にとって
👉 楽しい時間
👉 絆を深める時間
だと思います。
しかし実際には、
👉 人と犬は、まったく違う世界を見ています。
同じ道を歩いていても、
人は前を見て歩き、
犬は周囲の環境を読みながら歩いています。
散歩という同じ行動の中で、人と犬はまったく違う体験をしているのです。
■ 人は直線、犬は円
人は、
👉 前を見て
👉 道に沿って
👉 直線的に歩きます。
一方、犬は
👉 頭を下げ
👉 匂いを追い
👉 あちらこちらへ方向を変えながら歩きます。
立ち止まり、近づき、離れ、また戻る。
人間から見ると非効率に見える行動ですが、犬にとっては自然な情報収集の方法です。
これは能力の違いではなく、
👉 情報の取り方の違いなのです。
■ 犬にとっての散歩
犬にとって散歩とは、
👉 匂いを読む時間
👉 環境を理解する時間
です。
私はよく、
👉 「犬にとっての散歩は新聞を読む時間」
と表現しています。
そこに誰がいたのか。
いつ通ったのか。
どんな状態だったのか。
犬たちは匂いから膨大な情報を読み取っています。
散歩とは単なる移動ではなく、
👉 世界を知るための時間なのです。
■ アスファルトという環境
土や草地には多くの情報が残っています。
👉 他の動物の痕跡
👉 時間の経過
👉 環境の変化
👉 さまざまな匂い
犬たちはそれらを読み取りながら行動しています。
一方でアスファルトは、土や草地に比べると犬が利用できる情報が少ない環境です。
人間にとっては歩きやすい場所ですが、犬にとっては必ずしも情報量の多い場所とは言えません。
■ ガーデンパークで見た光景
ある公園で印象的な光景がありました。
そこは非常に広い空間でしたが、
👉 人が歩く道はアスファルト
👉 木陰が遠い
👉 日差しを避ける場所が少ない
という環境でした。
犬たちはしばしば、
👉 木陰へ向かおうとし
👉 草のある場所へ進もうとし
👉 斜めの方向へ動こうとします。
しかしリードやハーネスによって進行方向は固定されています。
その結果、体が斜めになったまま歩いている犬もいました。
多くの人はそれを「引っ張っている」と考えます。
しかし私には違って見えました。
犬はわがままで進路を変えようとしているのではありません。
👉 犬なりに情報のある場所を選ぼうとしている
ように見えたのです。
行きたい方向を選ぶ犬と、
進ませたい方向を決めている人。
そこには大きな認識の違いがあります。
■ 広さは本当に必要か
ここで考える必要があります。
👉 広いこと=良い環境なのでしょうか。
特に小型犬にとっては、
👉 広すぎる空間
👉 日陰までの距離
👉 隠れ場所の少なさ
は、必ずしも安心できる環境とは限りません。
むしろ、
👉 小さくても
👉 匂いがあり
👉 選択できる余白がある空間
の方が落ち着いて過ごせる場合があります。
重要なのは面積ではなく、
👉 犬が環境を利用できるかどうかなのかもしれません。
■ 本来の散歩とは
散歩とは、
👉 距離ではなく理解です。
犬に必要なのは、
👉 匂いを読む時間
👉 自分で方向を選ぶ余白
👉 環境を確認する機会です。
人間が思う「たくさん歩くこと」と、
犬が必要としている「環境を理解すること」は、必ずしも同じではありません。
■ 最後に
人が歩いている道と、
犬が見ている世界は、
同じようでいて、まったく違います。
犬は今日も匂いを読みながら、自分なりに世界を理解しようとしているのです。




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